ローン債務償還計画、定期返済額、総支払額、または利率に関して決定することは、少し複雑です。
GnuCash
には、この種の計算を容易にするための、内蔵の財務計算機があります。
財務計算機にアクセスするためには、
→
を選択してください。
財務計算機は、支払期間、利率、現在価値、定期的支払額、将来価値のうち4つのパラメータを与えると、残りの一つを計算します。 複利計算方法と支払い方法も指定する必要があります。
支払期間 - 返済期間の回数です。
利率 - ローンの表面利率、すなわち実質年率です。
現在価値 - ローンの現在の価値、すなわち借りているローンの現在額です。
定期的支払額 - 単位期間あたりに支払う金額です。
将来価値 - ローンの将来の価値、すなわちすべての返済期間が終わった後に借りている金額です。
複利 - 離散と連続の2つの複利計算方法が存在しています。 離散複利計算の場合はポップアップメニューで離散的な複利計算の頻度を選択します。毎年から毎日までの変動幅があります。
期間 - ポップアップメニューで、毎年から毎日までの頻度のパターンから支払い頻度を選択します。 支払いが初日に発生するか、または末日に発生するかも選択します。 支払期間の初日に支払いを行う場合は、これまでに支払いを行った金額、またはまだ借りている金額と同じように利子が適用されます。
100,000ドルを30年間、4%の固定金利、毎月の複利計算で毎月払いにした時、毎月の支払額はいくらでしょうか?
この例のシナリオでの画像は前のようになります。 この計算を実行するために、支払期間に360(12カ月x30年間)を入力、利率に4を入力、現在価値に100000を入力、定期的支払額に何も入力しない、将来価値に0を入力します(ローンの終了のときに何も借りていません)。 複利の設定は離散、毎月にします。期間の設定は末日、毎月にします。 そして支払合計の横にある ボタンを押します。 定期的支払額に-477.42が表示されます。
答え: 毎月払い金額は477.42ドルになります。
20,000ドルのローンを返済するのに、10%の固定金利、毎月の複利計算、1カ月あたり500ドル支払うなら、どれくらいの期間がかかるでしょうか?
この計算を実行するためには、支払期間を空白にします。利率に10を入力します。現在価値に20000を入力します。定期支払額に-500を入力します。そして将来価値に0を入力します(ローンの終了のときに何も借りていません)。 複利の設定は離散、毎月にします。期間の設定は末日、毎月にします。 そして支払合計の横にある ボタンを押します。 支払期間に48が表示されます。
答え: 4年(48カ月)後にローンを完済します。
財務計算機で使用される数式を説明するためには、まず、いくつかの変数を定義しなければいけません。
n == 支払期間の数 %i == 表面利率、NAR PV == 現在価値 PMT == 定期支払額 FV == 将来価値 CF == 1年あたりの複利計算の頻度 PF == 1年あたりの支払い頻度 CFとPFの標準の値はそれぞれ次の通りです。 1 == 毎年 2 == 年2回 3 == 年3回 4 == 四半期ごと 6 == 2カ月ごと 12 == 毎月 24 == 月2回 26 == 隔週 52 == 毎週 360 == 毎日(360) 365 == 毎日(365)
n、PV、PMTまたはFVを求める時には、最初に表面利率(i)を、支払いの期間あたりの実効利率(ieff)に変換しなければなりません。 このレート(ieff)は、後に選択された変数を計算するのに使用されます。 iを求める時には、計算によって実効利率(ieff)を求めます。 したがって、iからieffまで変換する機能とieffからiまで計算する機能が必要です。
iからieffまで変換するためには次の式を使用します。 離散的な利率: ieff = (1 + i/CF)^(CF/PF) - 1 連続的な利率: ieff = e^(i/PF) - 1 = exp(i/PF) - 1 ieffからiまで変換するためには次の式を使用します。 離散的な利率: i = CF*[(1+ieff)^(PF/CF) - 1] 連続的な利率: i = ln[(1+ieff)^PF]
注記 | |
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以降で説明する、金融取引のための方程式では、すべての利率が実効利率「ieff」です。 簡潔にするために、文字では単に「i」と表記します。 |
一つの方程式が基本的に5個すべての変数を関連付けます。 これは基本的な財務方程式として知られています。
PV*(1 + i)^n + PMT*(1 + iX)*[(1+i)^n - 1]/i + FV = 0
ここでXは次を表します。
X = 0 : 支払期間の終了時
X = 1 : 支払期間の開始時
この方程式からそれぞれの変数を求める関数が導き出されます。
この式を求める方法の詳細についてはGnuCash
ソースコードのファイルsrc/calculation/fin.cにあるコメントを参照してください。
後の方程式を読むのをより簡単にするために、変数A、B、およびCを最初に定義します。
A = (1 + i)^n - 1 B = (1 + iX)/i C = PMT*B n = ln[(C - FV)/(C + PV)]/ln((1 + i) PV = -[FV + A*C]/(A + 1) PMT = -[FV + PV*(A + 1)]/[A*B] FV = -[PV + A*(PV + C)] 利率のための解は2つの場合に分かれます。 PMT===0 の場合は簡単で、解は次のようになります。 i = [FV/PV]^(1/n) - 1
PMT!=0の場合は非常に複雑であり、ここで記述することはできません。 PMT!=0の場合、正確に求めることができる関数があるのではなく、利率を決定するに反復演算が必要となります。 詳細な説明はsrc/calculation/fin.cソースファイルを参照してください。
「例: 毎月払い」を再計算してみましょう。今回は財務計算機ではなく数式を使用します。 100,000ドルを30年間、4%の固定金利、毎月の複利計算で毎月払いにした時、毎月の支払額はいくらでしょうか?
最初に変数を定義します。 n = (30*12) = 360 、 PV = 100000、 PMT = 未知、 FV = 0、 i = 4%=4/100=0.04、 CF = PF = 12、 X = 0 (支払期間の終了時)。
第2ステップでは、表面利率(i)を実効利率(ieff)に変換します。 利率は離散的な毎月複利のため、次のようになります。 ieff = (1 + i/CF)^(CF/PF) - 1 = (1 + 0.04/12)^(12/12) - 1 = 1/300 = 0.0033333。
次は、AとBを計算します。 A = (1 + i)^n - 1 = (1 + 1/300)^360 - 1 = 2.313498。 B = (1 + iX)/i = (1 + (1/300)*0)/(1/300) = 300。
AとBを使って、PMTを計算します。 PMT = -[FV + PV*(A + 1)]/[A*B] = -[0 + 100000*(2.313498 + 1)] / [2.313498 * 300] = -331349.8 / 694.0494 = -477.415296 = -477.42。
答え: 毎月払い金額は477.42ドルになります。