11.1. 基本概念

減価償却は、時間経過とともに取得原価を経費計上する会計方法です。 減価償却を記録したいと思うのは2つの理由がある場合です。 一つは、個人財務のために帳簿を付けていて、純資産の動向をおさえたいと思う場合です。もう一つは、小規模事業のために帳簿を付けていて、税務申告書を準備する財務諸表を製作する必要がある場合です。

最終目的は異なりますが、減価償却を記録する方法はどちらの場合も同じです。 本節では2つの差異について説明します。 しかし最初は専門用語集からです。

11.1.1. 個人財務

個人財務における減価償却は、現在の純資産の正確な推定額を知るために、定期的に資産の評価額を下げるために使用します。 例えば、自動車を所有しているなら、毎年の減価償却を記録することによって、現在価値の動向をおさえることができます。 これを実現するためには、資産として取得価額を記録し、後は毎年1回、減価償却費を記録します (例として「例」を参照してください)。 これにより、年末になると資産の正味帳簿価額が公正市場価額とだいたい等しくなります。

個人財務の減価償却は、全く税金に影響がありません。単に純資産を見積もるのを助けるために使用されます。 このため、どのように減価償却を見積もるかの規則は全くありません。自身で最良と判断したものを使用してください。

では、どのような資産の減価償却を見積もらなければいけないのでしょうか? 個人財務における減価償却の目的は、個人の純資産の推定を行うためなので、自動車またはボートのように潜在的に売却することができる、価値のある資産で減価償却を追跡するだけで良いです。

11.1.2. ビジネス

個人財務では個人の純資産を追跡することが目的であるのと対照的に、ビジネスでは固定資産の取得価額とそれらによって得られた収益の関係を対応させる必要があります。 これは帳簿の減価償却を通して行います。 また、ビジネスではその地域の税法が資産の減価償却に必ず関係します。 これは税金減価償却費として知られています。 ビジネスでは、帳簿上に記録する減価償却の体系は自由に選択することができますが、税金減価償却費に使用する減価償却の体系は決められています。 この結果として、たまに、帳簿と税金減価償却費の間で差異が発生します。しかし、これらの差異を減少させるための手順をとることができます。

では、どのような購入品を資産計上しなければいけないのでしょうか? もし本年度以降にも収益を得るために何かを購入しようと考えるなら、それを資産計上しなければいけません。 これはビジネス目的に使用される限り、土地、建物、設備、自動車、およびコンピューターのようなものを含みます。 これには在庫であると考えられる商品は含まれません。 よって、商品を再販する意図を持って仕入れたなら、それを資産計上してはいけません。

資産自体の購入価格に加えて、資産を使用できるようにするために費やしたすべての費用を資産計上しなければいけません。 例えば、設備一式を購入するとします。それは、町の外から搬送し、機械のプラグを差し込むことができるように何らかの電気工事を行い、機械を使用する方法を知るために何らかの専門研修が必要となります。この場合、これらにかかるすべての費用を設備の取得価格に含めます。

また、資産の残存価額を知る必要があります。 一般的にはこれは0であると見なされます。 残存価額を知る背景は、正味帳簿価額 (原価差引減価) が残存価額と等しくなるまで資産が減価償却されるからです。 そして、資産を帳簿から除却する時に、資産処分に伴う損益は発生しません。

最後の手順は、使用する減価償却の方法を決定することです。 これは次に説明します。

警告

国が異なれば減価償却に関する実質的な税政策が異なることに気を付けてください。 本書を通して提供しているのは、実際には、お気に入りの課税/減価償却方法を適用するのを助けるための、根底にある知識の一部です。