2.2. データ入力の概念

GnuCashにデータを入力するときは、GnuCashがデータを分割する3種類の階層構成を意識しているべきです。 それは、ファイル、勘定科目、および取引です。 これらの階層は複雑さの順に並んでいます。1個のファイルが多くの勘定科目を含んでいます。そして、1個の勘定科目が多くの取引を含んでいます。 この分割はGnuCashの使用方法を理解するための基本です。

2.2.1. ファイル

GnuCashは情報を保存するための最上位としてファイルを使用します。 ファイルはコンピューター上に単一のXMLファイル(GnuCashのすべてのバージョン)として保存されるか、またはSQLデータベース(GnuCashバージョン2.4以降)内に保存されます。

注記

SQLsequelと発音されます。このため、話し言葉および書き言葉ではSQLデータベースと呼びます。

XMLファイル形式を使用する場合、GnuCashXMLデータファイルとしてデータを保存します。通常、ファイルは圧縮されます(GnuCash設定にある全般タブでこれを変えることができます)。

SQLストレージ形式を使用する場合、GnuCashは選択したデータベースアプリケーション (SQLite3、MySQL または PostgreSQL) のSQLデータベースとしてデータを保存します。

各勘定科目の集合を維持するためには1個の主ファイルまたはデータベースが必要となるでしょう。 どのようにGnuCashファイルを作成して、管理するかを学ぶためには、「財務データの保存」を参照してください。

注記

2個以上の勘定科目の集合が必要であると思うなら、実行するの前にプロの会計士または簿記係に相談したくなるでしょう。ほとんどのユーザーはおそらく一つのデータファイルしか必要としないでしょう。

バックアップファイルおよびログファイルは適切な時にGnuCashによって自動的に作成されます。 バックアップおよびログファイルに関しては、「データのバックアップとリカバリー」で説明しています。

2.2.2. 勘定科目

勘定科目は、所有しているか、借りているか、費やすか、または受け取る金額の動向をおさえるための場所です。 各GnuCashファイルには何個でも勘定科目を含めることができます。そして、各勘定科目は多くの子勘定科目を任意の階層数で含めることができます。 この簡単な特徴は後の章で説明するように、財務を管理するためのパワーの多くをGnuCashに与えます。

勘定科目の例としては、当座預金勘定科目、普通預金勘定科目、クレジットカード勘定科目、住宅ローン勘定科目、およびローン勘定科目です。 各GnuCash勘定科目は、実際の会計活動を追跡し、その状態に関する情報を提供します。

さらに、勘定科目は受け取ったり、費やしたりするお金を分類するためにも使用されます。 例えば、雑貨や食料品に支払うお金を追跡するための費用勘定科目を作成することができます。 これらは計算書を受け取る勘定科目ではありませんが、どのくらいのお金がそれぞれの領域で使用されているかを決めることができます。

勘定科目についてはさらに詳細に3章勘定科目で取り扱います。

2.2.3. 取引

取引は勘定科目間の金銭の移動を表します。 お金を使う、受け取る、またはお金を口座間で移動するという行為はすべて取引です。

取引の例は、電話代請求書の支払い、普通預金から当座預金までの資金移動、ピザの購入、お金の引き出し、給料の預け入れです。 4章取引でどのように取引を入力するかについて詳細に説明します。

複式記帳法会計処理では、取引は常に2個以上の勘定科目が関係します。資金移動元勘定科目と資金移動先勘定科目です。 GnuCashは影響を受ける各勘定科目に関して、取引内に行を挿入することによりこれを管理します。そして、各行に含まれる金額の合計を記録します。 勘定科目と合計額に関係する金額を記録する取引内の行はスプリットと呼ばれます。 取引には任意の数のスプリットを含めることができます。

取引におけるスプリットに関しては「スプリット取引」で説明します。